資料
「..特定技能制度及び技能実習制度の在り方については,入管法や技能実習法の附則におい て,検討が求められているところ,まさに検討時期に差し掛かっています。これらの制度につ いては,様々な立場から,賛否を含め,様々な御意見・御指摘があるものと承知しています。 私としては,両制度の在り方について,先入観にとらわれることなく,御意見・御指摘を様々 な関係者から幅広く伺っていきたいと考えており,そのため,『特定技能制度・技能実習制度 に係る法務大臣勉強会』を設置することとしました。また,同時に,両制度の実施状況につい ての情報収集・分析を進めるよう,出入国在留管理庁に対して指示しており,順次報告を受け る予定としています。今後,改めるべきは改めるという誠実さを旨として,両制度の在り方に ついて,多角的観点から検討を進めていきたいと考えています。」(法務省ホームページより)
「法務大臣勉強会」は現時点で4回にわたり実施されてきており、法改正を含めた 制度改正の動きが始まっているようです。
外国人技能実習制度は1993年の創設以来、制度そのものが偽装されたものであ るが故に、各地の「受入れ」現場で、この30年近く様々な人権侵害と労働基準破壊 をもたらしてきました。人権侵害や労働基準破壊はしばしば「事件」として報道され 「被害者」はもとより「加害者」もつくり出してきました。国連の人権機関をはじめ とする国際社会から「奴隷労働」、「人身売買」の構造的問題との批判を受け続けてい ます。2010年の制度改正、2017年の外国人技能実習法(外国人の技能実習の 適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)施行により「適正化」を謳われまし たが、「奴隷労働構造」というべき構造的問題には変わらず、人権侵害、労働基準破 壊は依然としてあとを絶ちません。最近では「中絶強要」や「孤立出産」問題が顕在 化しており、被害者であり救済されるべき女性技能実習生を「被疑者」や「被告人」 へと追いやっています。
また、2019年から鳴り物入りで始まった特定技能制度も、結局、外国人技能実 習制度を前提とした「受入れ」構造となってしまっています。特定技能労働者も労働 者の普遍的権利や国際基準、国内労働法での権利が実質的に保障されているとは到底 言えません。
私たちは、政府が「制度見直し」を明らかにしている今、欺瞞と偽装した目的故 に奴隷労働構造となっている外国人技能実習制度の廃止を強く求めます。そして、経 済界の要請への言い訳的な、稚拙な特定技能制度ではなく、地域や現場の切実な要請を直視した労働者が労働者としての権利、人権が担保されたまっとうな「受入れ制度」 を創設することを求めます。
私たちは、各地と様々な人々と連携して、外国人技能実習制度廃止とまっとうな「受 入れ制度」を掲げて、全国キャラバンを取り組みます。
みなさんの参加を呼びかけます。
いっしょにがんばりましょう。
2022年5月
外国人技能実習生権利ネットワーク
東京都台東区上野1-12-6 3F
電話:03-3836-9061 ファックス:03-3836-9077
メール:caravan2022@migrants.jp
1口3,000円です。今後御案内しますホームページのサイトで振込等の手 続をお願いします。
全国キャラバン概要
5/20(金)記者会見 13:30 厚労省記者クラブ
5/22(日)全国キャラバンスタート 北海道・札幌 沖縄・那覇
5/22(日)~6/10 各地でタウンミーティングやスタンディング
6/11(土)移住連シンポジウム 6/12(日)全国キャラバン集約のデモと集会
6/13(月)技能実習機構と政府への要請 終了後、記者会見
安曇野市セクハラ事案の経過(チラシより) 2020.4
〈経過〉
2018年3月から5月にかけて、安曇野市の非常勤女性職員Aさんは、他部署の係長である男性職員Bから、性的内容を含んだメールを何通も送られました。Aさんは新入の非常勤職員という弱い立場から、当たり障りのない同調的な返信を続けていました。
しかし、「手を縛っていい?」「キスしてあげる」などのメールに耐えきれなくなり上司に相談しました。B職員は「不適切なメールを送った」として所属部署の上司から厳重注意を受け、上司の前では反省を装いながら、Aさんには謝罪をせず、逆に小馬鹿にしたような態度を示しました。
さらに翌年3月、B職員は課内で昇格しました。Aさんは自分のつらさや悔しさが「なかったこと」にされたようでショックを受け、K市議とともにセクシャルハラスメントとして市に再調査を求めました。
市は弁護士3人に相談し、「セクハラでないとは言えない」との報告受け、2ヶ月後に分限懲戒審査委員会を開きました。再調査開始から9ヶ月もかかりました。しかも、市は規則・規程どおりの懲戒処分は行わず、B職員の加害事実が公表されることもありませんでした。
そして、2020年1月にAさんは年度末での雇い止め(クビ)を言い渡されたのです。Aさんは、B職員や市の対応、さらに一変した周囲の雰囲気に追い詰められ、心身が極限状態に陥り、退職を余儀なくされました。市は雇い止めを「人事評価による」としていますが、評価基準は不明確で、Aさんが、自分は厄介払いされたと考えるのも当然です。
現在Aさんは労働組合LCCながのに加入し、市と団体交渉を行っています。とりわけ、加害者と市の謝罪、事実の公表(加害者の特定や再処分ではなく)、そして具体的な再発防止策の発表と実現がAさんの切実な要求です。
団体交渉の席上、総務部長をはじめとする市は、Aさんを前にしても頑として謝らないばかりか、Aさんの非常勤職員としての懸念を「被害妄想」と切り捨て、加害者のメールに返信していたことをなじるなど、2次加害を繰り返しています。
平成29年12月18日
厚生労働省は、2017年12月8日の第35回生活保護基準部会において、2018年度から生活扶助基準本体や母子加算を大幅に引き下げる方針を示しました。
2013年からの生活扶助基準の大幅な削減(平均6.5%、最大10%)、さらには、2015年からの住宅扶助基準・冬季加算の削減に引き続くものであり、この度の引き下げでは、特に、子どものいる世帯と高齢世帯が大きな影響を受けることになります。
部会の資料によれば、子どものいる世帯の生活扶助費は、都市部の夫婦子2人世帯で13.7%の減、母子加算が平均2割減となる可能性があり、また、高齢(65歳)世帯の生活扶助費は、都市部の単身世帯で8.3%減、夫婦世帯で11.1%減に、それぞれ大幅削減される可能性があります。
今回の引き下げの考え方は、生活保護基準を第1・十分位層(所得階層を10に分けた下位10%の階層)の消費水準に合わせるというものです。しかし、日本では、生活保護の捕捉率(生活保護を利用する要件を満たす人のうち実際に利用している人が占める割合)が2割以下といわれ、第1・十分位層の中には、生活保護基準以下の生活を余儀なくされている人たちが多数存在します。この層を比較対象とすれば、当然生活保護基準の方が高いという結果になり、生活保護基準は際限なく引き下げられることになります。
私たちは、この度の方針に対し、ここ数年次々に行われた生活保護費の削減により、生活保護受給者は、「削れるものはすべて削ってきた。これ以上、いったい何を削れというのか」という悲鳴と怒りの声を上げざるを得ません。
生活保護基準は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準です。生活保護受給者の生活実態を見ることなく、生活保護の補足率の低さを棚上げにした上記第1・十分位との比較という数字合わせのごとき理屈をもって基準を引き下げることは、およそ憲法25条の趣旨に反するものです。
加えて、生活保護基準の切り下げは、生活保護受給者のみにかかわる問題ではありません。生活保護基準は、最低賃金、就学援助の給付対象基準、介護保険の保険料・利用料や障害者総合支援法による利用料の減額基準、地方税の非課税基準等の労働・教育・福祉・税制などの多様な施策の適用基準と連動しています。
ここ数日の間に、厚生労働省は、大幅削減の方針に対する批判に配慮し、減額幅を最大5%にとどめる調整に入ったとの報道もあります。
しかし、たとえ5%であったとしても、もはや削るものはないのです。
私たちは、この度の生活保護基準の引き下げの方針に抗議し、その撤回を求めます。
h27.6.1 反貧困ネットワーク・労働組合LCCながの 質問・要望事項への回答
※ 質問・要望事項
回答
〈移送費関連について〉
1. 生活保護法には生活扶助、医療扶助、介護扶助において、移送費が給付されるとありますが、それぞれ、主にどのような場合に給付されるのでしょうか。
また、それぞれの扶助における移送費について、申請から給付までに通常どのくらいの時間がかかるのでしょうか。
生活保護法における移送費については、生活移送、医療移送、介護移送があります。
生活移送には転居、施設入退所時、親族の葬儀等他に経費を支出する方法がない場合に必要最小限度の交通費を支給するものです。
医療移送は医療機関への受診時等に必要最小限度の日数、傷病等の状況に応じて経済的かつ合理的な経路及び交通手段によって行うものに対して支給します。
介護移送は必要な介護サービスを実施する当該事業者が近隣にない等やむをえない場合に送迎費として支給するものです。
生活扶助及び介助扶助における移送費の給付手続きについては、保護変更申請書に領収書等を添付して申請していただき支給しますので、最短で1週間程度、最大で2週間程度かかります。
医療扶助における移送費の給付手続きについては、本人から保護変更申請書(傷病)により申請があった場合、給付要否意見書(移送)により主治医の意見を確認し、その後嘱託医協議を行い福祉事務所において必要性を判断することになっています。(嘱託医協議の際に必要となる書類は、上記に加え通院証明書と公共交通機関以外を利用した場合には領収書が必要。)
当市嘱託医においては勤務日が不定であり、書類の提出を受けた当日に嘱託医協議がある場合もあれば、最大で2週間、日が開く場合もあるため、最短で1週間程度、最大で3週間程度かかります。
※昨年一年間の介護移送費の支給実績はありません。
2. 医療扶助における移送費(通院の交通費等)と生活扶助における移送費(断酒会に通う交通費等)の申請から給付までの時間に差があり、被保護者の間に不公平感があるようです。慢性疾患による長期通院などの場合、給付要否意見書(移送)の省略などにより、給付を迅速化できないでしょうか。
1の回答のとおり生活扶助と医療扶助の手続きに差異があるため、給付までの期間については現状でご理解をお願いいたします。
なお、継続的に移送費が必要な場合は、前月の給付要否意見書を参考に継続の要否を検討しているため、既に省略を行っています。
3.(要望)医療扶助運営要領の医療扶助実施方式「移送の給付」では、給付手続きの周知が定められています。しかし、保護申請中の方などにおいては、通院の移送費が給付されることや、事前の申請、領収書の提出などについて知らない場合があります。保護申請中の方を含め、全ての要保護者に移送費と給付手続きについて、周知して下さるようお願いします。
また、要保護者が地理に不案内な場合などは、適正な公共交通機関の経路などについても指導して下さい。
要保護者への周知については、移送費が必要な場合、その支給及び手続きについて、CWの口頭説明によって事前に説明しています。
経路の指導については移送費支給の用件に「経済的かつ合理的な経路及び交通手段によって行うもの」とあるため指導しているところです。
4. 保護の実施要領によると「被保護者が、配偶者、三親等以内の血族若しくは二親等以内の姻族が危篤に陥っているためそのもとへ行く場合又はそれらの者の葬儀に参加する場合で実施機関がやむを得ないと認めたとき」に必要最小限度の交通費、宿泊料及び飲食物費を給付するとされています。人の生死など突発的で緊急を要する場合、移送費はどのような手順で給付されるのでしょうか。
市の事務処理上、突発的、緊急を要する場合についても申請から支給まで2週間程度を必要とします。
そのため、被保護者の皆様には緊急時に備えた蓄えをしていただきたいと考えます。
5. 昨年度、親などの危篤や葬儀に臨席するためとして、移送費が申請されたケースは何件あり、そのうちの何件に移送費が給付されたのでしょうか。
昨年度、親などの危篤や葬儀に臨席するためとして、移送費が申請されたケースはありませんでした。
6. (要望)時々、被保護者から「交通費がなくて親の死に目に会えなかった」「葬儀に参列できなかった」という話しを聞きます。親兄弟の臨終や葬儀に臨席することは、ごく一般的な習俗であり、臨席したい気持ちも自然な人情です。このような場合、ぜひすみやかに臨時的一般生活費としての移送費を給付するようお願いします。
被保護者の方の心情も当然でありますので、基準の範囲内で速やかに支給を行いたいと考えますが、被保護者の皆様におかれましても、緊急時に備えた蓄えをしていただきたいと考えます。
〈住宅扶助の変更について〉
7. 2016年7月から、住宅扶助の限度額が変更になります。多くの自治体で減額になると聞きますが、長野市はどうなるのでしょうか。
住宅扶助につきましては、国の基準改定に基づき、2015年(今年)7月から改定となります。
長野市においても同月から、改訂後の基準が適用されます。
8. 前項につき減額になるとすれば、該当者にはどのように通知したのでしょうか。あるいは、いつどのように通知するのでしょうか。
減額の対象者に限らず、賃貸物件に居住されている生活保護受給者世帯の皆さんへ改定内容をお知らせする通知を作成しました。5月下旬から6月上旬の間までに、窓口来所時や自宅訪問の際の手渡し又は郵送により通知しています。
9. (要望)住宅扶助減額により家賃が限度額を超える場合、該当する被保護者が超過分を保護費で賄うか、低い家賃の住宅に転居するかの選択ができるよう、事前に十分な説明と指導を行ってください。
今回の改定では、生活保護受給者世帯の皆さんが転居によって、通学・通勤・通院及び通所に支障を来たすおそれがある場合等、国が示した要件を満たす場合には、引き続き、旧基準額の適用を行ってもよいと経過措置が設けられています。また、それ以外の方においても本年7月1日以降に初めて到来する契約更新日もしくは来年6月までの間は、旧基準額を適用してよいことになっています。今後も生活保護受給者世帯の皆さんには、丁寧で十分な説明を心がけ対応してまいります。通知文にも記載しましたが、担当CWに相談をお願いします。
〈保護申請時の窓口対応について〉
10. (要望)困窮者が一人で福祉事務所の窓口を訪ね、保護申請の意思を伝えても、申請に至らない場合が多くあります。中には、数百円、数十円の所持金しかないのに申請書を渡されず、「まいさぽ」窓口へ行くよう指導された方もあります。
現にお金がない、食料がない、住居が著しく不安定だなどの状況にある方については、申請権に則って保護申請を受理し、上限2万円の法外貸し付けなどの緊急支援をした上で、「まいさぽ」などに案内するようお願いします。
窓口において、相談員及びCWが申請者の状況をお聞きし、生活に困窮しており、申請の意思を示されたばあいには申請書を交付しています。また、所持金を確認し、手持ち資金が少ない場合は、つなぎ資金を貸し付けています。
2012年10月4日付け要望書について、下記のとおり回答したします。
1 住居の定まらない者の保護について
① 申請時から入居までの宿泊について
ホームレス状態の人からの生活保護の相談に対しては、過去の実績から借家の 提供に理解のある不動産会社のリストを手渡すとともに、申請をしたことを不動産会社に伝えるよう案内しています。また、相談を受ける中で希望がある場合は、安価なホテルを口頭で紹介しています。
なお、生活保護の申請時には、つなぎ資金や社会福祉協議会の貸付について説明をしていますが、つなぎ資金を借用した後、失踪する人がいることもあり、法外的な支援として宿泊費を支給することは考えておりません。
② 保証人を設定できない場合について
保証協会を利用できない人からの相談については、不動産会社から所への照会に対し、家賃は市から直接家主等へ振り込むことを説明し、協力を依頼しています。
③ 長野県宅地建物取引業協会長野支部との行政懇談会の内容について
長野県宅地建物取引業協会長野支部との行政懇談会において、福祉事務所から住居がない人への対応を次のとおり依頼しました。
・ 敷金等は生活保護決定後に福祉事務所から支給する。また、家賃を福祉事務所から直接家主の口座に振り込むことができ、滞納となることがないことを家主に説明いただきたい。
・ 本人の同意により福祉事務所へ連絡をいただければ、詳細について説明をさせていただくため、住居の提供をお願いしたい。
2 保護申請から保護開始までの生活費等について
生活保護の開始については、調査等を迅速に進め、法定期間に決定するように努めていますが、申請時からつなぎ資金について説明をし、要望があれば限度額の範囲内で手交しています。
また、必要に応じて社会福祉協議会と連携している中で、保護費の支給までつなぎ資金のみでは生活が困難である人には、貸付制度の利用を勧め、必要に応じて同伴をしています。
3 福祉事務所の窓口対応について
生活保護の申請に来られた人には、生活状況をお聞きしながら、「保護のしおり」をもとに懇切丁寧な説明に心がけ、車の所有および使用については、生活保護の実施要領により認められる場合があることを説明しています。
また、申請後の医療機関の受診の方法については、受診する前にCWに連絡することなどの注意事項を説明しています。当然のことではありますが、生活保護開始後も、担当CWが来所時の面接、訪問等において生活保護の制度について、丁寧な説明を心がけ対応しています。
長野市長
鷲澤正一様
福祉事務所長
駒津善忠様
日頃は、長野市の福祉行政、とりわけ生活保護行政にご尽力いただいていることに敬意を表します。
私たち労働組合LCCながのは、地域の合同労働組合として、広く労働相談、生活相談を受け、相談者と共に企業と交渉したり、相談者を行政の福祉窓口につないだり等の活動をしています。
その中で、昨2011年10月25日には、「長野市生活保護行政にかかる申し入れ書」を提出して、貴福祉事務所との懇談をもち、後日申し入れ書への回答をいただきました。その節はありがとうございました。
前回申し入れからおよそ1年を経て、生活保護受給者は全国で200万人を超え、政府は生活保護を見直す「適正化」案を示したところです。一方で、生活保護受給者、生活困窮者をとりまく状況はますます厳しくなっています。
私たちは生存権の実現としての福祉、特にその最後の砦である生活保護行政がまさしく「適正に」行われるよう、再度要望いたします。ご多忙中恐縮ですが、別紙要望書については、10月15日までに回答を労働組合LCCながのまでご送付ください。
さらに、当要望書と回答をもとに懇談の機会を設けていただきたく、お願いいたします。
私どもでは、10月22日午後2時からを希望いたします。ご都合の悪い場合は、お早めに当方執行委員長・高橋(mob.090-8476-8127)まで、電話にてご連絡ください。ご連絡のない場合は、22日に3〜4名でうかがいます。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
1. 住居の定まらない者の保護について
野宿、居候など、住居の定まらない方が生活保護を受けて自立を図るためには、まず、住居を得なくてはなりません。ついては、次の3点を要望し、また質問いたします。
① 申請時から入居までの宿泊について
ホームレス状態の申請者については、その晩からの「屋根」を確実に提供して下さい。入居あるいは旭寮への緊急入居までの宿泊に低額のホテル等を用いる場合、ホテルのリスト等を提供するほか、申請者が一時的にせよ宿泊費を払わないですむよう、法外支援などを含む措置を講じてください。
② 保証人を設定できない場合について
入居に際し、保証人を設定できず、保障協会の審査に適わない申請者については、不動産業者、大家への説明等、市が全面的に支援してください。
③ 前回申し入れ書の回答によると、2011年11月18日長野県宅地建物取引業協会長野支部との行政懇談会において、住居のない保護申請者の住居確保についての協力依頼をされた由ですが、その内容を教えてください。
2. 保護申請から保護開始までの生活費等について
保護の決定は、極力申請から14日以内に行ってください。やむなく決定が延びる場合には特に保護開始までの申請者の生活費について配慮してください。これの不足する者については、申請時に上限2万円の「つなぎ資金」を手交し、さらに不足する場合は、早めに社会福祉協議会の窓口に同伴して緊急小口資金等の貸付を受けさせてください。
3. 福祉事務所の窓口対応について
保護申請時、窓口での対応においては、申請者の必要に応じて親切に指導してください。
特に自動車の保持・使用の禁止だけでなく、認められる場合も説明してください。また、申請後の医療の受け方もきちんと指導してください。
生活保護支給開始後も、必要に応じて事前的に丁寧に説明、指導するようすべての相談員、ケースワーカーに徹底してください。
LEFT:日頃、長野市の保健福祉行政にご理解ご協力をいただき感謝いたします。
2011年10月25日付けで申し入れをいただいた標題の件につきまして、下記のとおり回答いたします。
生活保護を申請した場合に、資産調査等の回答遅延があった場合には保護費の支給まで30日近くを要する場合があります。ご指摘のように、その間の生活費に困窮する場合は、「つなぎ資金」として2万円を限度に貸付を行っています。「つなぎ資金」は、限られた財源の中で運用しており、また近年では「つなぎ資金」を貸付後に行方不明になるなどし、回収が不可能になっている事例も発生しているため、所としては、真に必要な方に対して2万円を限度に貸付を行っています。「つなぎ資金」で不足する場合は、必要に応じて社会福祉協議会の緊急小口資金等の貸付金制度の案内を行ってまいります。
なお、「つなぎ資金」は保護費の緊急前渡金的趣旨であるので、初回の保護費で一括返済していただきます。また社会福祉協議会の貸付金については、平成21年4月15日付け事務連絡 厚生労働省社会・援護局保護課係長通知(生活保護申請者に対する緊急小口資金の貸付について)の中で当該貸付金は保護費支給時に一括して償還を行うよう指導する旨記載されており、一括して償還しない場合は未償還分について、最低生活費を超えるものとして、全額収入認定することとされているので、所としても一括返済を指導しています。
現在、社会福祉協議会の貸付金については、申請から貸付まで3日から5日程度要していますが、早急の貸付決定をしていただけるよう、所としても改めて11月2日に市社会福祉協議会へ要望をしました。社会福祉協議会では、申請・県社会福祉協議会への送付・貸付決定まで事務手続き上、どうしても3日から5日程要するため、これ以上の期間の短縮は困難との見解でした。
2 自転車の貸与について
本市では、交通政策課が放置自転車対策を行っています。放置自転車は、整備をしなければ使用できないものが多く市民への販売・斡旋等は行っておりません。自転車組合に買い取っていただき、組合加入店舗が整備を行い、リサイクル自転車として1台10,000円以内で販売をしています。安価な自転車が必要な方はご利用いただければと思います。組合加入店舗については、市交通対策課にお問い合わせください。
自転車は、最低限度の生活を営むうえでの必需品という考え方もありますが、生活の利便性を高めるためのものと考えます。よって、通常は保護費のやり繰りの中から購入していただくものであることから、現状では所として保護申請者への貸与等は難しいとの判断です。保護申請当初、自転車がない場合は、可能な範囲での求職活動をしていただければと思います。
なお、就労に必要な自転車を購入した場合は、当該職業に必要不可欠であり、自転車の購入によって収入が増加すると認められる場合は、交通費として計上されるべき範囲の額を必要経費として認定することができます。
3 緊急入居等について
現在、市営住宅の緊急入居ができる条件としては、①東日本大震災で被災され、住宅を失った方々等の受け入れ、②離職退去者用があります。それぞれ条件を満たせば、緊急入居が可能です。
住居のない保護申請者については、制度の実態を理解し、住居の提供に協力的な不動産業者や家主の協力により、住宅を確保する事例が多数あること、市内の救護施設「旭寮」が2名分のホームレス入居枠を確保しており、空きがあれば利用できることから、新たに市営住宅の一部を短期入居のために活用することや、ビジネスホテルの確保などは考えておりません。
住居のない保護申請者が住居を探す際には、必要に応じ保護申請者の入居に協力をしてくれる不動産業者のリストや格安ホテルの情報等を提供したり、不動産業者へ生活保護制度の説明を行いたいと考えます。
また、来る11月18日に開催される長野県宅地建物取引業協会長野支部との行政懇談会において、住居のない保護申請者の住居確保について協力依頼を行う予定です。
4 就労指導について
長野公共職業安定所の有効求人倍率は0.93倍(平成23年9月)と、以前よりは高くなっているものの、まだまだ厳しい求人状況であることは承知しています。しかし、生活保護受給者の自立が本制度の目的であることから、所としては、稼働年齢層(15歳〜64歳)の受給者に対しては、就労指導を行っています。就労指導にあたっては、稼働能力の有無について確認し、傷病等の理由で就労ができないという方に対しては、主治医に病状調査を行います。その結果、就労は困難と判断された方には就労指導は行わず病気の治療を優先させています。また、就労が可能と判断された方に対しては親切・丁寧な就労指導を心がけておりますが、特段の理由がなく求職活動を拒む場合や、福祉事務所の指示に従っていただけない場合は、制度の実施要領に従い保護の停廃止などの厳しい処置をとらせていただく場合もあります。
なお、福祉事務所では原則として受給者に対して特定の仕事を紹介したり、勧めたりすることはありません。
個々のケースの問題については、担当ケースワーカーはにご相談願います。
5 自動車の保有、使用について
生活保護受給者が、自動車を保有、使用することは、原則的には認められません。
自動車保有を認めてもよいケースとして①事業用②通勤用③障害者の通院用があります。また、保護開始時に失業や傷病で就労を中断している場合で6ヶ月以内に保護から脱却できる場合も処分の指導を保留することは可能です。いずれにおいても、国が示したそれぞれの保有用件に該当する場合にのみ、自動車の保有、使用が認められます。
ご指摘のとおり長野市には中山間地が多く、公共交通機関も時間帯によっては本数が少ない中、自動車が人々の「足」となっているのは事実ですが、生活保護制度を適用するにあたっては、国の定めた基準で実施しなければならないことから、本市としては、保護申請の際に「自動車に関する確認事項報告書」により保護申請者全員に対し、自動車の保有及び利用に制限があること、世帯の状況により自動車の使用が認められることを丁寧に説明し、理解をいただいております。
自動車の保有、使用に関する取扱いについては、近年も「通勤用自動車の保有要件の緩和」や「概ね6ヶ月以内の就労により保護から脱却することが確実に見込まれる者の保有している自動車の処分指導の保留」など保有用件が緩和されてきています。よって、長野市として、自動車の保有、使用条件の大幅な緩和を頻繁に国に求めていくことは考えておりません。
日頃は、長野市の福祉行政、とりわけ生活保護行政にご尽力いただいていることに敬意を表します。
私たち労働組合LCCながのは、地域の合同労働組合として、広く労働相談、生活相談を受け、相談者と共に企業と交渉したり、相談者を行政の福祉窓口につないだり等の活動をしています。
その中で、本日は、生活保護の申請、受給等にかかる行政の改善について申し入れいたします。下記5点の申し入れ事項に関し、私たちと話し合い、後日文書をもって、回答下さるようお願いします。
ご多忙中、恐縮ですが、回答は11月11日(金)までに当組合あてにご送付ください。
記
1. 保護申請から保護開始までの生活費等について
やむなく生活保護を申請する人たちは、多くの場合、ほとんどお金を持っていません。特に野宿状態から申請する場合、所持金が0という場合もあります。
しかるに入居に当たって、敷金等入居費用や家賃は後払いにするとしても、最低限の家具、什器、寝具等が即日必要となります。さらに保護開始までの30日近くを生活しなければならず、この間におよそ1か月分の最低生活費が必要です。
長野市福祉事務所では、2万円まで、つなぎの資金を貸し出しますが、およそ足りるものではありません。しかも近頃、申請者が急増しているため、2万円まで借りられない場合もあります。
これについて、必要とする人に、即刻2万円を窓口で前貸しできる準備をお願いします。さらに、不足分は社会福祉協議会の貸付を迅速に受けられるよう、申請者を社協の窓口に案内するなどしてください。また、返済については、保護開始時一括返済を強制することなく、申請者の希望に応じて分割返済もできるようにはからってください。
2. 自転車の貸与について
特に、野宿、矯正施設等から保護申請する場合、自転車を持っていない人が多くいます。広い長野市において、とりわけ福祉事務所やハローワークへの行き来が必要な申請者にとって、移動手段としての自転車は必需品と言えます。しかし、購入するには中古品でも数千円から1万円を要します。
そこで、市内で回収された放置自転車などを整備、補修し、希望者には申請時に無料で貸与することを提案します。保護開始後に、希望があれば支給するか、ごく低額で買い取らせてください。
3. 緊急入居等について
以前より何度も申し入れていることですが、住居のない申請者について、「その日からの屋根」を長野市で準備してください。現状は支援者や民間団体が無理をして調達しています。ビジネスホテル等を使う場合には、1泊5千円ほどの宿泊費を一時的にせよ個人や団体が負担しています。
緊急用に留保している市営住宅(の一部)をまさに緊急のごく短期入居に充てるよう、重ねて要望します。
これができない場合は、他市で実施しているように、何軒かのビジネスホテル等を現金払いなく使えるよう、契約してください。
4. 就労指導について
受給者の自立に向けた就労指導は、福祉事務所の重要な業務です。しかし、現下、新卒者にとってさえも就労は困難です。体調、年齢、経歴等に多く不利な要素をもつ受給者の就労が困難を極めることは言うまでもありません。そのことを前提に、受給者が精神的に追い詰められて自棄になったり、心身の不調をきたしたりすることのないよう、親切で丁寧な指導をしてください。
また、善意であっても、労働条件があいまいだったり、雇用契約を結べないようなしごとを受給者に紹介したり勧めたりすることは避けて下さい。
さらに、心身に疾患をもつ人については、病気や怪我の治療をすべてに優先させ、就労指導を一時控える等の配慮をしてください。
5. 自動車の保有、使用について
未だに「生活保護を受けたら自動車が使えない」という不正確な情報が流布し、そのために保護申請をあきらめている困窮者が多くあります。長野市のように広く、中山間地が多く、公共交通網が貧弱な地方都市において、自家用車が人々の「足」であることは、誰もが実感するところです。 特に、高齢者や小さな子どもをもつ世帯にとって、自動車は必需品と言えます。
生活保護行政において、公共交通機関の使用が困難な通勤、通院だけでなく、就職活動にも自家用車の使用が認められる等、規制が緩和されていることを受給者、申請者、相談者に周知してください。そして、個々のケースについて、丁寧に検討してください。
また、大都会が施策の中心となりがちな国に対し、長野市としてあるいは他市と共同し、県と共同して、自家用車保有・使用条件の大幅な緩和を頻繁に強く求めてください。
以上
内閣総理大臣
野田 佳彦 様
私たち「TPPに反対する人々の運動」は、環太平洋経済連携協定(TPP)参加に反対し、自分たちが暮らし、働くムラでマチで安心して生きたいと願う人たちが集まり、発足しました。
2010年10月に菅直人前総理大臣が唐突に、TPP交渉への参加を表明して以来、国内において議論が展開されてきました。しかし、3月11日の大震災以来、未曾有の危機的状況の中で、ほとんど論議が行われてきませんでした。
ところが、野田政権が誕生し、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)を前に、再び、TPP参加を推進しようとする動きが出てきました。野田首相をはじめ、政府は、TPP参加の判断時期を「総合的に検討し、できるだけ早期に判断」するとしています。経団連なども交渉参加を求めています。
しかし、下記のようなことから、現状において、TPP交渉への参加を検討することは全くの暴論であり、認められるものではありません。このような無意味な議論は早急にやめて、震災・原発被災対策など、いま必要とされる施策を着実に実施されるよう要請します。
1.大震災や原発事故により農林漁業地帯である東北の復旧・復興が必要な中で、日本農林漁業に大きな打撃を与えるTPP参加はこれに逆行するものである。
2.TPPは、様々な産業、金融、医療、サービス分野、公共事業の開放など範な内容を持っている。しかし、こうした分野や労働者、広く国民生活に与える影響はほとんど論議されていない。
3.大震災発生以来、TPPに関する国民への説明や議論がまったくなされていない。
4.現在のTPP交渉の内容、情報が全く公開されていない。また、交渉も各国の利害が対立し、まとまるかどうか不明である。来年は米大統領選もあり、交渉の進展はないとの見方が強い。
TPPに反対する人々の運動
共同代表山下惣一 菅野芳秀 天明伸浩
大阪市において「宮城の復興作業」として紹介された仕事が、実際には福島第一原発周辺での瓦礫撤去作業であったことが、事件として報道された。
その同時期、私たちは長野県内において、生活保護受給者等を福島原発事故処理の被曝労働に動員しようとする手配師の存在を確認した。勧誘された労働者によれば、被曝の危険性に関する説明は殆ど受けていない。被曝や他の事故の際の補償に関する説明も無かったと思われる。原発事故現場での労働に被曝の危険が高いことは言うまでもなく、被曝の危険性や身体への影響について十分なコンセンサスの無いまま、労働者を危地に送り込むことは不当な人権侵害である。とりわけ、日々の収入について選択の余地が少なく、かつ、一般に被曝の危険性についての情報アクセスが困難な困窮者を主な動員ターゲットに据えている点で、大阪と長野における手配師は極めて悪質な貧困ビジネスを行っていると言うことができる。困窮者の情報からの疎外をいいことに、その足元を見て使い捨ての道具のように扱う「死のビジネス」を、絶対に許してはならない。
私たち二団体はこの「事件」を、私たちの多くをも含む下層労働者全体をめぐる問題と捉える。報道において、今なお原発現場で放射能に晒される労働者の「命がけ」が賛美される一方で、そこに映る「東電協力会社の作業員」が具体的にいったいどこの誰なのかは、およそ報道されていない。下請け・孫請け・ひ孫請……その末端に、ほとんどの人がやりたがらない被曝労働を強いられる人々がいる。その多くが、山谷や釜ヶ埼などの寄せ場からかき集められた野宿労働者・日雇い労働者であることは従来より指摘されてきた周知の事実である。今回の「事件」は、単に悪質な手配師の問題のみならず、市民社会の「豊かさ」を支える為に、選択肢の乏しい下層労働者を犠牲にし、それでいて野宿者など下層労働者の存在を嫌悪しその実態を隠し続ける私たちの社会・経済システム全体に問題を提起するものとして捉えねばならないだろう。
敢えて言うならば、行政による失業者への福祉とは、このような劣悪な労働条件をあいまいにしての勧誘・労働の強要から労働者の人権を守る為にある。
しかるに、長野県のある福祉事務所は宮城県での震災復旧作業への求人情報を得ていたところ、前述の手配師か彼に近しい者が、この作業への勧誘も行い、じっさい労働者を送り込んだ。結局、生活保護受給者を含め、宮城におもむいた労働者たちは、「現地の受け入れ体制が整っていなかった」ことによって数日で失職し長野県に戻った。このような不確かな雇用関係では就労と言えない。これを就労とみなし、もし保護の停廃止や、住宅契約の解除が行なわれていた場合、当該受給者の生活は、一層破壊されていたのではないか。福祉事務所は、求人の情報を得、しかもこれに手配師らがかかわっていることを知りながら、労働条件等を確かめることも、就労指導の中で受給者に注意を喚起することもなく、結果として彼らに危機を負わせたことの責任を免れない。
就労現場・雇用期間・賃金条件・社会保障の有無など労働の質を問わず、いたずらに「早期の就労自立」を焦る福祉事務所の日常の姿勢が、貧困ビジネスの横行を含むいびつな事態を招いた一因と言わざるを得ない。このことを看過した場合、行政による福祉は、ただ困窮者を更に人の嫌がる危険で劣悪な労働条件のもとへと誘導する動員装置へと堕するに違いない。その根底にあるものは、困窮者を人ではなくコストと見なし、国家・資本・公共への貢献を急がせる対象としか眼差さない冷酷さである。
東日本大震災と原発事故により、復興「特需」を期待し、この恩恵に与ろうとする醜悪な者たちの跋扈が、今後も予想される。企業・行政は違法・不当な手配師の介入を許さず、労働者の生存権と尊厳を守ることに力を尽くすべきである。
以上の観点から、以下、関係各位に要望する。
●行政の労政部局(労働基準監督署・公共職業安定所など含む)は、不法・不当な手配師による「復興」関係貧困ビジネスの横行に対し、警戒感を持って臨むこと。
●福祉事務所など福祉行政は、東日本大震災に関連する受け入れの不確かな就労勧誘によって、生活保護受給者等に住居契約や福祉を解除させ、困窮者を一層不安定な状態に追い込むことのないよう、特に注意すること。
●公共・民間にかかわらず、就労支援・職業紹介を業とするものは、その職業紹介から、原発事故にかかわる危険な労働現場を厳格に除外すべきである。なお、「危険」を判断する基準にあたり、政府による被曝量制限基準には多数の異論があり、これをそのまま適用することは妥当ではない。
●野宿者など失業者に接し、その生活と就労を支援するすべての団体は、速やかに大阪市・長野県の事例を対象相談者に周知し、被曝にかかる十分な知識を提供するとともに、不法な手配師等 による求人・勧誘への注意を促すべきである。
●報道関係者は、被曝労働者の紹介に際し、「東電協力会社の作業員」ではなく、その具体的な所属と雇用形態について正確に報道すること。
長野市長
鷲澤正一様
私たち労働組合LCCながのは、解雇、困窮など、労働者からの相談を受け、解決に向けて支援する合同労働組合です。
さて、先頃閉会した12月定例市議会の一般質問において、鷲澤市長は、就職未定の学生へのアドバイスとして、「一番大事なのは反省すること」などと述べました。「いろんなコネを使ったか」「社会に文句を言っても何のプラスにもならない」など、一連の発言は、為政者の就中市政をあずかる者のそれとして看過できるものではありません。
厚生労働省の発表によると、今年度の就職内定率は、大学卒業予定者において57.6%(10月1日現在)、高校卒業予定者において40.6%(9月末現在)です。短大、専修学校、中学などの卒業予定者を合わせ、およそ半数の卒業予定者の就職が未だ決まっておらず、過去最低水準と言えます。
この事態の原因は、一に各企業が、労働者の正規雇用を差し控えていることにあります。グローバル企業と呼ばれるような大企業は、不況と国際競争力強化を口実として、人件費を圧縮するために正規雇用を減らし、派遣等、非正規雇用へと雇用形態をシフトさせています。大企業の風圧を受けて、中小零細の国内企業では更に雇用の非正規化が進んでいます。
企業の無軌道な市場主義と、これを是正できず、結果としてこれに荷担する政治の責任によって、多くの学生が職を得られずにいるのです。それを一切語らず、個々の学生に反省を求める発言は、不見識であるだけでなく、不当です。
また、一般的に、就職などに際し、「コネ」を使うことは、公平性の見地から推奨されるべきことではありません。さらに、親の社会的地位や縁故という「コネ」を持たない者にとって、市長の発言は失望を大きくするものです。
そして何より、「社会に文句を言っても何のプラスにもならない」という発言を私たちは許すことができません。たしかに、彼らが「文句」を言うことは、企業や政治の社会的責任を棚上げして、全てを個人の自己責任に帰そうとする人々のプラスにはならないでしょう。しかし、一昨年の暮れ、当事者や支援者が日比谷公園で開催した「年越し派遣村」は、社会の関心を呼び、大きな運動となりました。そして、一部とは言え、政治を動かしました。
現在、日本各地で、派遣切りされたり、劣悪な労働条件を強いられたりしている人々が支援者とともに、労働組合や市民運動体を作って、社会に働きかけています。「文句」を言い、怒り、つながりあうことは個人と社会のプラスになるのです。
市長の一連の発言は、就職未定者たちの不満や怒りが社会化する芽を摘み取り、自己責任の円環に閉じこめようとするものです。発言の取り消しを求める一部の市会議員に対し、市長は「(何においても)反省することは大事」と述べたとされますが、そのような一般論を持ち出すことは、居直りととらえ得ます。
私たちは、鷲澤正一長野市長が、上記の議会発言を撤回し、広報誌、ホームページ等において、当事者と市民に謝罪することを強く求めます。
今日、生活保護とこれら市町村独自の制度を組み合わせて活用することにより、住居喪失者が住居を確保する可能性は高まっており、住居喪失者の住居確保支援の仕組みは大きく前進しているものと考えます。
しかしその現状は、住居確保の可否(したがって保護開始決定の可否)という死活問題が、市町村が独自に実施する貸付金制度や市営住宅等への一時的入居制度の活用条件に委ねられているとも言え、これは市町村間での公平性が保障されていない事を意味します。
また、住居確保費用の支給が認められる条件についても、福祉事務所毎に異なる解釈を見せる場合があり、ある市で支給が認められ入居を果たしたケースと全く同様のケースが別の市では認められないといった現象が発生しています。
さらには、保護開始日を住居への入居以後として取り扱う運用や、住宅の確保を申請の条件として説明する等、違法な運用が後を絶ちません。
これらの要因によって、今なお、住居喪失者が住居を確保することは決して簡単とは言えない状況となっています。
1月27日の参議院予算委員会における長妻厚生労働大臣の発言のとおり、住居の安定なくしては就職活動もままならないものであり、住居の確保は失業者の自立に向けた最低限かつ最重要の条件です。
よって、県におかれましては、「市町村が保有する災害用住宅や福祉住宅等を一時的宿泊場所として提供してもらうよう」単に「福祉事務所に働きかける」のみならず、その結果を把握し、市町村の不備により住居確保が困難となっている人々に最低限度の居住権を保障するよう、次のとおり求める次第です。
1.「緊急雇用対策における貧困・困窮者支援のための生活保護制度の運用改善について」の主旨に沿った運用を、各福祉事務所に対し、さらに指導徹底すること
2.住居を喪失した人々が、アパート等の住居を確保するまで一時的に宿泊している場合、アパート等への入居費用が確実に支給されるよう、「一時的な宿泊所」として、安価な旅館・ホテルのみならず、知人宅・両親若しくは親族宅・民間宗教施設他、ホームレス支援団体の提供する宿泊所など幅広くこれを認めること
3.市町村と連携し「緊急雇用対策における貧困・困窮者支援のための生活保護制度の運用改善について」の主旨通り「安価な旅館・ホテル」を現実的に利用できるようにするため、宿泊料を適時貸付可能な体制を整えること
4.各市町村での貸付金制度や市営住宅等への一時的入居制度についてその利用条件や実績を調査し、現状を一元的に把握すること
5.今日、保証人を得られない住居喪失者は多く、また保証協会による保証も利用困難となっている場合が多いことから「職や住まいを失った方々への支援の徹底について 2−(2)」に記される「保証人が得られない者に対してアパート等を斡旋する不動産業者の情報」の収集と提供を徹底するよう、各市町村に指導すること。また、「保証人が得られない者に対してアパート等を斡旋する不動産業者」の無い地域においては、市町村と連携し、不動産業者との交渉を支援する等によって住居確保支援に努めること
平素より住民の福祉につとめる行政に感謝申し上げます。
ご存知の通り、世界的不況と構造改革によって、多くの労働者が職を失い、生活の困窮を余儀なくされております。とりわけ、県を跨いだ移動を伴う短期就労と寮住まいを求められる派遣労働者が、解雇とともに住居を失う事態は、昨年の「年越し派遣村」の出現によって広く知れ渡ることとなりました。
私たちはこの間、失業者を中心とした困窮者の生存支援を継続してきました。「豊かな社会」と言われてきた日本社会に貧困が広がっている現状と、失業者が直ちに急迫した状態に陥るほどのセイフティネットの希薄さに、あらためて深刻な驚きを覚えています。
この秋、政府は、職と住居を失う労働者の自立支援のためにいくつかの新たなセイフティネットを設置しました。しかし「最後のセイフティネット」である生活保護の重要性は、生存権の保障において今なお重要な位置を占めています。
私たちは、困窮者の生存支援の過程において、この生活保護の運用に関するいくつかの深刻な問題を見出しており、県知事に対し、以下の通り申し入れます。
1.生活保護申請に対する窓口での申請拒否(いわゆる「水際作戦」)や行政・福祉事務所間でのたらい回しを無くすよう指導すること
「行政を頼ったが追い返された」として私たちのもとに相談に訪れる方が後を絶ちません。また、住民票記載住所と現在地(野宿地・入院先等)が異なる場合の行政単位間でのたらい回しが行われている事実を確認しています。
「保護の実施要領」他、厚生労働省からの通知類は「相談者の申請権を侵害しないことはもとより、申請権を侵害していると疑われるような行為も厳に慎むこと(次官通知)」とする旨をたびたび明示していますが、同様の事例は今なお後を絶ちません。また、申請前の相談段階において「自動車保有者は保護できない」「住居の無い者は保護できない」など、不十分な説明により錯誤を誘発することで要保護者の申請意思を不当に委縮させている現場を、私たちはたびたび視認・是正してきました。
かかることの無いよう、県におかれましては、各福祉事務所への指導徹底をお願いします。
2.野宿生活者への対応を改善すること(1)
「生活保護法(以下、「法」)」は、住居の無い人を保護の対象として想定しており(第19条)、更に「ホームレスに対する生活保護の適用に当たっては、居住地がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるものでないことに留意し、生活保護を適正に実施する(平成15年7月31日厚生労働省社会・援護局保護課長通知)」とした上、「運用事例集」でも「居住地がないこと自体は保護申請の却下理由にはならない。・・・サウナやカプセルホテル、旅館等を利用している場合であっても、そのことをもって保護の対象とならない理由にはあたらない」としています。
然るに、県内の福祉事務所は「住居の無い人は保護しない」とし、野宿状態のままの保護申請が受理された場合においても、審査期間中(保護開始決定前)の自身の資力による賃貸契約と入居を求めています。
しかし、要保護者が自身の資力によって賃貸契約を果たし実際に入居することは至難の業であり、実際の入居は多くの場合、敷金等の払い込みの後に初めて認められるものです。「実際の入居」を条件とした保護の開始は、事実上、野宿生活者に入居を許さず路上に放置する行為であり、断じて認められるものではありません。生活保護法における転居費用は、「保護開始時において、安定した住居のない要保護者が住宅の確保に際し、敷金等を必要とする際(保護の実施要領)」に給付されなければならず、安定した住居の無い状態が保護開始と転居費用給付を妨げないことを示しています。したがって「実際の入居」を保護開始と敷金等転居費用給付の条件とすることは、国の定める生活保護の運用にさえ反していると言わざるを得ません。これら長野県内福祉事務所に共通の、また特有の違法運用に、県による各福祉事務所への誤った指導が強く介在していることを、私たちはたびたび確認しています。県はただちにこの誤った指導をやめ、安定した住居のない要保護者が速やかに入居を果たされるよう、保護開始による入居を認め、保護開始前の転居費用給付を行うよう、指導するよう願います。
3.野宿生活者への対応を改善すること(2)
現在、都市部においては、生活保護申請後、住居の確保までの期間、自立支援施設(以下シェルター)・簡易宿泊施設(いわゆるドヤ)での待機を求めるのが通常ですが、御承知の通り、長野県には公設の自立支援施設や、簡易宿泊施設が設置されていません。ゆえに、野宿状態の要保護者は、申請の後「(路上に)お帰りください」とされるのが常であり、さらには路上に「帰」ったところで、警察や管理権者によって退去を求められることさえあります。
当然にも憲法の定める「健康で文化的な最低限度の生活」にもとる待遇と言わざるをえません。私たちは、生活保護他、セイフティネット活用の審査期間中に、極めて簡素な届け出によって活用可能なシェルターの建設を、県に強く求めます。
また、現在までシェルターが用意されていないことは、野宿生活者の責任ではなく、ひとえに需要を考慮した上での行政と民間資本の判断に過ぎず、これによって野宿当事者が、それらを擁する自治体の野宿生活者に比して不便を被る理由にはあたりません。言うまでもなく生活保護等のセイフティネットは、国による無差別平等の施策であり、行政単位の「判断」によって地域間での差別が行われてはなりません。この点に鑑み、私たちは、公設シェルター設置までの代替措置として、野宿生活者の住居確保までの期間、必要に応じて簡易宿泊施設等と同等以上の宿泊先を提供するよう、各福祉事務所に指導する旨、要求します。
4.自動車の保有について
旧来、生活保護世帯の自動車保有は厳しく制限されてきたものの、近年、国はいくつかの条件付きで保護世帯の自動車保有を認めつつあり、保有・運用要件は毎年のように緩和されています。これは、地方都市においては自動車の運用が必須であり、また自動車の所有が職業選択の幅を大きく広げることに鑑みれば当然の措置であるとともに、長野県他多くの自治体による国への意見書送付など、市民・行政・議会の運動の成果と言えるでしょう。
しかし、多くの福祉事務所では、要保護者に対して、今なお「自動車を持っている人は保護できない」とする不十分な説明を行う職員がしばしばおり、加えて、保護開始後も、2008年度の「保護の実施要領(「通勤用自動車保有」「失業や傷病により就労を中断している場合の通勤用自動車の保有」)」の記載事項に沿わない形で、理由のない自動車処分指導が行われている形跡があります。
また今日では「公共交通機関の利用が著しく困難な地域」での居住もしくは就労が、自動車保有の条件として記載されていますが、県内の市部においては「公共交通機関の利用が著しく困難な地域」に該当する地域が「無い」とする福祉事務所が多く、政府による自動車保有の規制緩和が有名無実化しています。08年度「別冊問答集」は「公共交通機関の利用が著しく困難かどうかの基準を一律に示すことは困難である」とした上で、「総合的な判断」を福祉事務所が行うことを求めています。長野県の自動車普及率は全国第3位に及び、また、生活路線バスの廃止・縮小や、旧町村部の合併によって、長野県内で「公共交通機関の利用が著しく困難な地域」は拡大していると見る事が可能です。これらを踏まえたならば、機械的に自動車保有を制限するのではなく、地域と保護世帯の実情に鑑み、自動車の運用を柔軟かつ積極的に認めていくよう、各福祉事務所に指導すべきと考えます。
加えて、長野県内には、公共交通機関の利用が「著しく困難」とまでは言えないとしても、円滑な就労自立と交通費節約のために自動車保有が大きく利する地域も多いことから、県は保護世帯の自動車保有要件の更なる緩和を、積極的に国に要請していくことを提言します。例えば、公共交通機関の利用が「著しく困難」ではなかったとしても、月ごとの自動車の維持費が、公共交通機関によって移動する場合の交通費総額を下回る場合などに自動車の保有が認められるよう積極的にはからうことは、福祉事務所が保護世帯に求める「むだづかいをしないで、生活の維持・向上につとめる(例;松本市「生活保護のしおり」)の本旨に沿うものと考えます。
日々住民のためにご尽力されていることに敬意を表します。
さて、私たち労働者コミュニティーセンター・ながの(以下LCC・ながの)は10年ほど前、市民・労働者が呼びかけあい無権利状態であった外国籍労働者の相談を中心に受けながら、企業との交渉など行い解決してきた団体です。
さて、数年前より生活者の貧困が叫ばれていましたが、とうとう昨年秋に経済危機が労働者を襲い、容赦なく労働者を生活の場から放り捨ててきました。その勢いは今も衰えていません。
そしてこの間、自ら生命を絶つ者や秋葉原に象徴されるような様々な悲しい事件が発生しました。私たちはそのようなことを繰り返させてはならないとの思いから、労働相談だけではなく生活相談も行うことを決定し、現在職安前や市役所前において「一人で悩んでいないで相談しよう」「生きるための制度を活用しよう」という内容のチラシ配布を行っています。
以下はこの間いくつかの相談事例を取組んできてわかった具体的な実態に基づいた要求です。誠意ある回答をお願いいたします。
1、住居及び収入の無い方の申請に関して、速やかな住居の確保を行うとともに当面の生活が出来る費用を支給していただきたい。
2、市の施設(地下市営駐車場・公園等)に身を寄せている方に対してそれぞれ管理している係員等は排除するのではなく、「生活保護等」の存在を告げ、当人の意志を確認した上で具体的な対応を講じられたい。
(追加)
3、現在生活保護を受給されていて、就労して自立をめざしている方に対して自動車の保有を認めていただきたい。
長野市福祉事務所長 様
日頃は、長野市における生活保護行政に尽力いただき、感謝いたします。
私たち労働者コミュニティーセンター・ながの(LCC・ながの)は、10年来、労働者から解雇・不当労働行為など、労働問題に関する相談を受け、ともに解決をはかる活動を行っている市民団体です。
昨秋以来の大量解雇、派遣切りなどの影響もあり、このごろは、失業者などが、生活に困窮し、私たちのもとにも生活相談が寄せられるようになりました。その中には生活保護申請に関する相談や、すでに生活保護を受給している方からの相談もあります。
特に生活保護申請者や受給者からは、「自動車を処分するよう求められているが、通勤・求職活動など、生活上どうしても車が必要だ」という相談が目立ちます。
旧来、生活保護世帯の自動車保有は厳しく制限されてきたものの、近年、国は条件付きで、保護世帯の自動車保有を認めつつあり、保有・運用要件は毎年のように緩和されてきています。これは、地方都市においては自動車の使用が必須であり、また自動車の所有が職業選択の幅を大きく広げることに鑑みれば当然の措置であるとともに、長野県他多くの自治体による国への意見書送付など、市民・行政・議会の共同による絶え間ない運動の成果と言えます。
2008年度版「保護の実施要領」においては、「通勤用自動車保有」「失業や傷病により就労を中断している場合の通勤用自動車の保有」が、一定の条件のもとで認められ、さらに本年度は、「公共交通機関の利用が著しく困難な地域」に住む者が通勤だけでなく、通院等に自動車を使用することを認めています。さらに、処分指導を保留されている自動車を一定条件のもと、求職活動に使用することも認めています。
しかし、長野市においては、これら、自動車の保有・使用の要件が、受給者にじゅうぶんに説明されないまま、一方的な処分指導がなされている場合が見受けられます。このように機械的な、場合によっては強圧的な処分指導は、自動車保有・使用要件緩和の趨勢に反するだけでなく、生活保護の本旨にもとります。さらに、受給者の就業や求職の機会を狭め、結果、自立を妨げることにもなりかねません。
また、「公共交通機関の利用が著しく困難な地域」という規定については、08年度「別冊問答集」において「公共交通機関の利用が著しく困難かどうかの基準を一律に示すことは困難である」とした上で、「駅やバス停までの所要時間」「1日あたりの運行本数」「該当地域での自動車の普及率」等を判断材料として示し、「総合的な判断」を福祉事務所が行うことを求めています。
長野県は自動車普及率が全国第3位であり、また、決して公共交通機関が発達しているとは言えない環境にあります。更に近年は、生活路線バスの廃止・縮小や、周辺町村の合併によって、長野市内で「公共交通機関の利用が著しく困難な地域」は拡大しているといえます。
また、「公共交通機関の利用が著しく困難」とは言えないまでも、月ごとの自動車の維持費が公共交通機関によって通勤、通院などをする場合の交通費総額を下回る場合なども、自動車の保有・使用を容認するべきではないでしょうか。
これらの状況を踏まえ、下記4項目を強く要望いたします。
1. 生活保護申請者、受給者に対し、自動車の保有・使用の要件をていねいに説明すること
2. 長野県や長野市の交通事情、自動車普及率を踏まえ、個々のケースにおいて、長野市福祉事務所が柔軟な判断を下すこと
3. 地方都市での円滑な就労自立と、交通費節約のために、自動車保有・使用の要件をさらに緩和するよう、国に働きかけること
4. とくに、1.2.について、すべてのケースワーカーに指導、徹底すること